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静岡地方裁判所 昭和53年(ワ)467号 判決 1980年7月08日

主文

一  被告松木は原告に対し、金一、二六五、八三〇円とこれに対する昭和四四年一〇月一日から支払ずみまで金一〇〇円につき一日金四銭の割合による金員を支払え。

二  原告の被告住谷に対する請求を棄却する。

三  訴訟費用は、これを三分し、その二を原告、その余を被告松木の負担とする。

四  この判決は原告勝訴の部分にかぎり仮に執行することができる。

事実

第一  申立

一  原告

別紙第一のとおり

二  被告住谷

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

との判決を求める。

第二  主張

一  請求原因

別紙第二のとおり

二  被告住谷の答弁

(一)  請求原因三の(3)、四の(2)、(5)の各事実は認める。

(二)  同一の(2)、(4)、二の(2)、三の(2)、(4)、(6)、四の(4)、(6)の各事実は否認する。

(三)  その余の請求原因事実は知らない。

第三  証拠(省略)

別紙

第一 請求の趣旨

一 被告住谷美代子は原告に対して金三、七九七、五〇〇円、被告松木はなは原告に対して金一、二六五、八三〇円、および右各金員に対する昭和四四年一〇月一日から支払ずみまで日歩金四銭の割合による金員を支払え。

二 訴訟費用は被告らの負担とする。

との判決ならびに仮執行の宣言を求める。

第二 請求原因

一 (1)訴外日信印刷株式会社(以下日信印刷と略称)は訴外掛川信用金庫(以下掛信と略称)と昭和三八年一一月一〇日付「譲渡担保契約証書」に基いて限度を金三五〇万円、利息を日歩二銭七厘、遅延損害金を日歩金四銭の割合と定め、日信印刷がその当時掛信に負担し又は将来負担する証書貸付・手形貸付・保証契約等による債務を担保するため、その当時日信印刷が所有した「印刷機械器具類」の動産物件を譲渡担保としてその所有権を掛信に移転して引渡し占有の改定により日信印刷が改めて占有使用することを契約し、(2)被告住谷の被相続人住谷慧秋(3)及び被告松木の被相続人松木順・訴外亀井亀吉等(4)が右契約上の日信印刷の掛信に対する一切の債務につき連帯保証を為した。

二 (1)そして掛信は日信印刷に対して証書貸付或は手形貸付の方法で取引を開始し、その最終確定貸付債権は金三七〇万四、〇〇〇円と確定したるも日信印刷はこの弁済ができず、訴外静広美術印刷有限会社(以下静広美術と略称)が昭和四三年八月二〇日から昭和四四年七月二一日迄の間において金六〇万円及び同年九月三〇日金三一九万七、五〇〇円計金三七九万七、五〇〇円を(右確定債権金三七〇万四、〇〇〇円の内金三五〇万円及びこれに対する昭和四三年八月三日から昭和四四年九月三〇日まで日歩金二銭の割合による利子金二九万七、五〇〇円)掛信に代位弁済を為し、(2)前記担保物件である印刷機械器具類も同時に静広美術へ所有権を移転された(3)が日信印刷はその引渡しを為さなかつた。

三 (1)よつて日信印刷は当然静広美術に対して代位弁済による求償債務を負担するのでこれを履行すべきに拘わらずこれを為さず、剰え右担保物件を日信印刷の代表取締役であり且つ(2)連帯保証人の一人である住谷慧秋が個人で占有使用するうち横浜へ転居して(3)死亡しその妻であり且つ唯一人の相続人である被告住谷(4)がこれを占有中大部分の物件を売却して滅失したので、(5)静岡地方裁判所昭和四八年(ヨ)第一五号処分禁止の仮処分を為したが(6)殆んどその物件は存在せず、無価値に等しい実情となつた。

四 (1)そこで静広美術は営業不振で原告に対し借入金印刷用紙代金等多額の負債を生ずるに至つたので、その弁済に充当するため前記金三七九万七、五〇〇円及びこれに対する損害金前記担保物件共債権譲渡を為し、(2)この旨日信印刷その他被告らに通知したところ、(3)日信印刷は既に倒産して登記簿上も一〇年間も登記を怠つており昭和四九年法律第二一号附則第一三条第一項により休眠会社として法務局から職権により昭和四九年一〇月一日解散登記が為され、その所在すら不明であり、原告は右債権の弁済に充当する切実な事情から被告らにその請求をする次第なるも(4)連帯保証人(5)住谷慧秋は昭和四六年八月一二日死亡し被告住谷が配偶者として唯一の相続人(6)で求償債務の連帯保証責任全額金三七九万七、五〇〇円を負担し、

(7) 連帯保証人松木順は昭和四九年二月三日死亡し、この相続人としては配偶者被告松木及び養子訴外大規すての両名あり、被告松木は配偶者として同様三分の一の金一二六万五、八三〇円を負担する。

五 よつて、原告は被告らに対し右各金員と、これに対する被告らが債務遅滞に陥つた昭和四四年九月三〇日の翌日から支払ずみまで特約による日歩金四銭の割合による遅延損害金の支払いを求める。

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